産後の骨盤矯正

 

女性は妊娠すると3か月過ぎあたりから、女性ホルモンの一つである『リラキシン』が分泌されるようになります。

このリラキシンというホルモンは『関節周りの軟部組織を緩める』働きがあり、出産時に赤ちゃんが産道を通りやすくしてくれます。

ただし、関節周りの軟部組織が緩む影響で、妊娠中・産後は腱鞘炎や関節痛が出やすいです。

 

しかも、出産後は日々成長し、重くなるわが子を長時間『抱っこ』することで、腱鞘炎や関節痛(腰を含む)が一層発症しやすい状況が整います。

 

 

また、出産時は産道が限界まで拡がり、骨盤の関節部に離解する力が掛かります。

産後に『恥骨結合炎』(おへその下の骨が痛い)の症状の出る方がいるのは、そのためですね。

 

 

先述の通り、妊娠中はホルモン(リラキシン)の影響で軟部組織が緩みますが、出産後半年程度で元に戻ると言われています。

故に、痛みが無いなら特に手技療法を受ける必要自体がありません。

 

・「産後は拡がった骨盤を締める必要がある」

・「骨盤が拡がっているから痩せられない」

 

などと意味不明なことを『煽る』民間療法家やメディア(←公的免許なし)が多いようですが、

”現代医学的には”

 

・「骨で構成されている骨盤は歪まない。限界以上の外力が加わった場合は骨折する。」

 

という考えが主流です。

これは、医師による婦人科・産婦人科で、『産後の骨盤矯正』が健康保険適応でない。というよりも、そもそも行われていない事からも明白かと思います。

(個人クリニックだと、院長の考えで自費施術メニューとして設けている院が稀にあるかも?というレベル)

 

 

「妊娠・出産を期に太った」

という方の場合、”現代医学的には”激しい運動を自重する妊娠中に運動不足で『体脂肪量が増えた』&『筋肉が落ちたことで基礎代謝が低下した』のが原因です。

その為、骨盤周りの筋肉を鍛え・引き締める系の『骨盤ダイエット』なら、”現代医学的・スポーツ科学的”にも理に合っています。

 

・全身の骨格筋の7割が下半身にあり、全身の筋肉が少ないと部分的な筋肉発達も効率が悪い

・スクワットやランジといった下半身のトレーニングは、間接的に体幹(腹筋・背筋)を使う種目が多い

 

ただ、これだと『拡がった骨盤を締めないとウンヌン』は、関係ないわけです。

ついでに、『産後に拡がった骨盤を締めないと内蔵下垂が改善しないから基礎代謝がウンヌン』も非科学ですね。

 

妊娠・出産で内蔵下垂が起こるほど極端に骨盤が拡がるわけではありません。妊娠前は無かった『ぽっこり下腹』に悩まれているなら、妊娠中に『胎児に負担の掛かる腹筋使用』を自重した事による腹筋力の低下が原因でしょう。

 

足上げ腹筋運動やプランク、パワー・ヨガ、ピラティスといった体幹トレーニングがお薦めです。

 

 


 

ここまで読んで、『産後の骨盤矯正』を否定した文章と感じた方がいらっしゃたら誤解です。

上記で

 

・「出産後は日々成長し、重くなるわが子を長時間『抱っこ』することで、腱鞘炎や関節痛(腰を含む)が一層発症しやすい状況が整います。」

・「痛みが無いなら特に手技療法を受ける必要自体がありません。」

 

と記載しました。

『痛み』に対するケアとしては、『骨盤周りの関節モビライゼーション』や『仙腸関節への関節運動学的アプローチ』が有効な場合があります。

むやみに瞬間的な圧力を掛けて バキバキ・ボキボキさせず、優しく揺すったり ジンワリと持続圧を掛けることで、炎症により硬くなり動かすと痛みを発する軟部組織の緊張を改善します。

 

 

当院は鍼灸をはじめ、現代医学と異なるアプローチ法も有しています。

ただ、『医師の同意書』を頂いての鍼灸の健康保険施術にも対応している院ですし、少なくとも

 

・医師に聞かれたら困る、非科学的な『騙し』の混じった説明

・理学療法士に見られたら困る、意味不明または危険な施術

 

は、一切 行っていません。

産後の関節痛(腰痛ほか)に悩まれている方は、安心して お気軽にご相談ください。